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ABWとは?働き方を変えるオフィスを解説

コラム

2025.12.15

「働き方改革を進めたいが、何から手をつければいいか分からない」 「オフィスのリニューアルを機に、もっと生産性が上がる環境を作りたい」

企業の経営層や総務・人事担当者の方なら、一度はこのような課題を感じたことがあるのではないでしょうか。
その解決策の一つとして、今注目されているのが「ABWActivity Based Working」という考え方です。

この記事では、ABWの基本的な意味から、よく混同されるフリーアドレスとの違い、導入のメリット・デメリット、具体的な企業の成功事例まで、専門知識を持つプロのSEOライターが分かりやすく解説します。

この記事を読めば、ABWが自社の課題解決にどう役立つのか、導入を成功させるために何が必要なのかが明確になります。

ABWとは仕事内容で場所を選ぶ働き方

ABWをひとことで言うと、**「仕事内容(Activity)に合わせて、働く場所や時間を自律的に選ぶ働き方」**です。
決まった自席はなく、その日のタスクに最も適した環境を従業員自身が選択します。

例えば、以下のような働き方が可能になります。

  • 企画書作成に集中したい時:静かな個室ブースへ
  • チームで議論したい時:ホワイトボードのあるコラボスペースへ
  • オンライン商談をする時:防音のフォンブースへ
  • 少し気分転換したい時:カフェのようなラウンジスペースへ

このように、活動内容に応じて最適な場所を選ぶことで、従業員一人ひとりの生産性と創造性を最大限に引き出すことを目指します。

Activity Based Workingの定義と目的

ABWとは、Activity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の略称です。

この働き方の根底にあるのは、「一つの場所ですべての仕事が効率的にできるわけではない」という考え方です。
それぞれの業務には、集中、協業、コミュニケーション、リラックスなど、異なる特性があります。

ABWの最終的な目的は、従業員がこれらの活動ごとに最適な環境を自ら選べるようにすることで、個と組織のパフォーマンスを最大化することにあります。
単なるオフィスレイアウトの変更ではなく、従業員の自律性を尊重し、成果を最大化するための経営戦略・働き方の哲学とも言えるでしょう。

働き方改革におけるABWの位置づけ

ABWは、日本政府が推進する「働き方改革」の文脈においても非常に重要な位置を占めています。
働き方改革が目指す「生産性の向上」や「多様で柔軟な働き方の実現」に対して、ABWは直接的な解決策となり得ます。

固定席で長時間働くという従来のスタイルから脱却し、従業員が自律的に働く環境を選ぶABWは、まさに働き方改革を体現するアプローチです。
従業員満足度の向上や、イノベーションの創出、優秀な人材の確保といった効果も期待でき、多くの企業が注目しています。

テレワークやハイブリッドワークとの関係性

ABWの「働く場所を選ぶ」という考え方は、オフィス内に留まりません。
自宅、サテライトオフィス、カフェなど、オフィス以外の場所も選択肢に含まれます。

そのため、ABWはテレワークやハイブリッドワーク(オフィス勤務と在宅勤務を組み合わせる働き方)と非常に親和性が高いのが特徴です。

オフィスは「集中作業やWeb会議をする場所」だけでなく、「チームで集まり、アイデアを出し合う場所」「企業文化を醸成する場所」といった役割がより重要になります。
ABWの考え方を取り入れることで、ハイブリッドワーク時代のオフィスの価値を再定義し、最適化することが可能になります。

ABWとフリーアドレスの違いを比較

ABWって、結局フリーアドレスと同じじゃないの?」という疑問をよく耳にします。
どちらも固定席がない点は共通していますが、その目的や考え方には明確な違いがあります。

ここでは、ABWとフリーアドレスの違いを3つの観点から比較し、解説します。

比較項目

ABW(Activity Based Working)

フリーアドレス

目的

生産性・創造性の向上

省スペース化・コスト削減

自由度

**活動(仕事内容)**に合わせて場所を選ぶ

空いているを自由に選ぶ

オフィス設計

多様な機能を持つ空間で構成

均一な執務席が中心

目的の違い「コスト削減」と「生産性向上」

両者の最も大きな違いは、その導入目的にあります。

  • フリーアドレス 主に、在席率に応じて執務席の数を減らし、オフィスの省スペース化や賃料コストの削減を目的として導入されるケースが多く見られます。
  • ABW 一方、ABWの主目的はあくまで従業員の生産性や創造性を最大限に引き出すことです。コスト削減は副次的な効果として期待されることはあっても、それが第一目標ではありません。

自由度の違い「席の選択」と「活動の選択」

選択の基準も大きく異なります。

  • フリーアドレス 「空いている席の中から、どこに座るか」という**「席」の選択**が基本です。多くの場合、用意されているのは同じようなデスクです。
  • ABW 「今日の仕事内容(企画、会議、電話など)は何か」を基準に、「活動」に最適な環境を選択します。そのため、オフィスには集中ブースや会議室など、多種多様なスペースが用意されています。

オフィス設計の違い「均一な空間」と「多様な空間」

目的と自由度の違いは、オフィスの設計思想にも表れます。

  • フリーアドレス オフィスは主にデスクが並ぶ「執務エリア」で構成され、比較的均一な空間設計になりがちです。
  • ABW 集中、協業、Web会議、リフレッシュなど、10種類以上もの活動を想定して設計されます。そのため、オフィスは多様な機能を持つエリアの集合体となり、まるで街(タウン)のような構成になります。

ABW導入によるメリット・デメリット

ABWは生産性向上など多くのメリットが期待できる一方、導入にあたっては考慮すべきデメリットも存在します。
ここでは、企業側・従業員側それぞれのメリットと、導入時の課題について解説します。

企業側のメリット「生産性向上・創造性の促進」

  • 生産性の向上 従業員がタスクに最適な環境で働けるため、集中力が高まり、業務効率が向上します。
  • 創造性の促進 部署や役職の垣根を越えた偶発的なコミュニケーション(セレンディピティ)が生まれやすくなり、新しいアイデアやイノベーションの創出につながります。
  • オフィススペースの有効活用 従業員の出社率や活動内容に合わせてオフィスを設計するため、無駄なスペースを削減し、コストを最適化できます。
  • 優秀な人材の確保と定着 自律的で魅力的な働き方を提供できるため、採用競争において優位性を保ち、従業員エンゲージメントの向上にも貢献します。

従業員側のメリット「自律性・満足度の向上」

  • 自律的な働き方の実現 自分の仕事は自分でコントロールするという意識が高まり、仕事へのモチベーションや責任感が向上します。
  • 集中力と生産性の向上 周囲の雑音や会話に邪魔されずに集中したい時、逆に気軽に相談したい時など、状況に応じて環境を選べるため、ストレスが軽減されます。
  • ワークライフバランスの向上 テレワークとの組み合わせにより、通勤時間の削減や育児・介護との両立がしやすくなるなど、柔軟な働き方が可能になります。
  • コミュニケーションの活性化 普段関わりのない他部署のメンバーと隣り合わせになる機会が増え、新たな人脈形成や知識の共有が促進されます。

導入時のデメリットと解決策

ABWはメリットばかりではありません。
導入を検討する際は、以下の課題と対策をセットで理解しておくことが重要です。

  • デメリット1:部下の管理が難しくなる 部下がどこで何をしているかが見えにくくなり、従来のマネジメント手法が通用しなくなる可能性があります。
    • 解決策 勤怠管理だけでなく、成果(アウトプット)で評価する制度への見直しや、定期的な1on1ミーティングによるコミュニケーションの質の向上が求められます。
  • デメリット2:コミュニケーションが不足する チームの一体感が薄れたり、部署内の気軽な相談がしにくくなったりする懸念があります。
    • 解決策 チャットツールやWeb会議システムなどのITツール活用に加え、チームで集まる日(コアタイム)を設ける、所在確認ツールを導入するなどのルール作りが有効です。
  • デメリット3:導入コストがかかる オフィスの改装や、ITインフラの整備、新しい家具の購入などに初期投資が必要です。
    • 解決策 いきなり全社で導入するのではなく、**一部の部署で試験的に始める(パイロット導入)**ことで、コストを抑えつつ効果を検証できます。
  • デメリット4:特定のスペースに人が集中する 集中ブースや窓際の席など、人気のスペースがすぐに埋まってしまい、使いたい時に使えないという不満が出ることがあります。
    • 解決策 スペースの予約システムを導入したり、利用時間の上限を設けるなどのルールを策定したりすることで、公平な利用を促します。

ABWオフィスを構成するワークスペース例

ABWを導入したオフィスには、具体的にどのようなスペースがあるのでしょうか。ここでは、代表的な4つのワークスペースをご紹介します。自社の働き方をイメージしながらご覧ください。

集中作業スペース「フォーカスブース」

一人で深く集中して作業を行うための個室、または半個室のスペースです。
企画書の作成、データ分析、プログラミングなど、高い集中力が求められる業務に最適です。
周囲の視線や音を遮断できるように設計されており、生産性を飛躍的に高めます。

協業スペース「コラボレーションエリア」

複数人で活発に議論やブレインストーミングを行うためのオープンスペースです。
可動式のテーブルや椅子、ホワイトボード、大型モニターなどが設置されていることが多く、チームでのアイデア出しやプロジェクト会議に適しています。
偶発的な出会いから新たな発想が生まれる場でもあります。

Web会議用スペース「フォンブース」

周囲に音漏れを気にすることなく、Web会議や電話ができる1人用の防音個室です。
ハイブリッドワークが浸透した現代のオフィスにおいて、オンラインでの商談や面談、クライアントとの重要な通話を行うために不可欠なスペースとなっています。

リフレッシュスペース「カフェ・ラウンジ」

コーヒーを飲んで一息ついたり、同僚と雑談したりするためのリラックス空間です。
仕事の合間の休憩はもちろん、カジュアルな打ち合わせや、部署を超えた偶発的なコミュニケーションを促す場としても機能します。
こうした空間があることで、従業員の満足度や創造性が高まります。

ABW導入企業の成功事例

ABWは、国内外の先進企業で導入が進んでいます。
ここでは、具体的な成功事例を3社ご紹介します。

【国内事例】コクヨ株式会社

オフィス家具メーカーのコクヨは、自社の品川オフィス「THE CAMPUS」でABWを実践しています。
オフィスを「働く実験場」と位置づけ、社員の活動データを分析しながら常にアップデートを続けています。
多様なワークスペースを設けるだけでなく、社員食堂や公園なども一般に開放し、社内外の人が交流する仕掛けを構築。ABWを通じて、新たな価値創造に挑戦しています。
(参考:コクヨ株式会社 THE CAMPUS https://the-campus.net/)

【国内事例】株式会社イトーキ

同じくオフィス家具メーカーのイトーキは、本社オフィス「ITOKI TOKYO XORK」で先進的なABWを導入しています。
10種類のワークスペースを設け、社員は専用アプリでその日の業務内容を登録し、最適な席を予約します。
各種センサーで働き方をデータとして可視化・分析し、継続的に働き方とオフィス環境を改善するサイクルを回しているのが特徴です。
(参考:株式会社イトーキ ITOKI TOKYO XORK https://www.itoki.jp/xork/)

【海外事例】マイクロソフトオランダ本社

ABWの考え方をいち早く取り入れ、世界的な成功事例として知られているのがマイクロソフトのオランダ本社です。
同社はオフィスリニューアルを機に固定席を完全撤廃。ペーパーレス化や最新のITツールを徹底活用し、従業員がいつでもどこでも働ける環境を整備しました。
その結果、従業員満足度が大幅に向上し、生産性も約30%向上したと言われています。

ABW導入を成功させる4ステップ

ABWの導入は、単にオフィスのレイアウトを変えるだけでは成功しません。
従業員の意識改革やルールの整備など、計画的な準備が必要です。
ここでは、導入を成功に導くための4つのステップをご紹介します。

Step1 現状分析と目的の明確化

まず最も重要なのが、「なぜ自社はABWを導入するのか?」という目的を明確にすることです。
「生産性を上げたい」「イノベーションを促進したい」「採用力を強化したい」など、企業によって目的は様々です。
従業員へのアンケートやワークショップ、オフィスの利用実態調査などを通じて現状の課題を洗い出し、ABW導入によって何を解決したいのかを具体的に定義しましょう。

Step2 ワークプレイス戦略の策定と設計

次に、明確化した目的に基づき、自社に最適なワークプレイスを構想します。 自社の従業員が行っている活動(Activity)を分析・分類し、「どのような活動を、どれくらいの頻度で行っているか」を把握します。
その上で、集中ブース、コラボレーションエリア、Web会議ブースといった各スペースを、どのくらいの割合で配置するかを決定し、具体的なオフィス設計に落とし込んでいきます。

Step3 トライアル導入と従業員への周知

いきなり全社で本格導入するのはリスクが伴います。
まずは**特定の部署やフロアで試験的に導入する「トライアル(パイロット導入)」**をおすすめします。
トライアルを通じて課題を洗い出し、改善を重ねることで、本格導入時の失敗を防ぐことができます。
また、この段階で従業員に対してABW導入の目的や新しいオフィスの利用ルールなどを丁寧に説明し、変化に対する不安を取り除き、理解と協力を得ることが不可欠です。

Step4 本格導入と効果測定・改善

トライアルでの学びを活かして、いよいよ本格導入です。
しかし、導入して終わりではありません。
ABWは「導入したら完成」ではなく、常に改善していくものです。
導入後は、定期的に従業員満足度調査やスペースの利用率データを測定しましょう。
その結果を分析し、「集中スペースが足りない」「予約ルールが分かりにくい」といった課題に対して、継続的に改善策を実行していくことが、ABWを自社に定着させ、成功させるための鍵となります。

まとめ

今回は、新しい働き方として注目される「ABWActivity Based Working)」について、その基本からフリーアドレスとの違い、メリット・デメリット、導入ステップまでを詳しく解説しました。

最後に、この記事の要点を振り返ります。

  • ABWとは、仕事内容に合わせて働く場所を自律的に選ぶ働き方
  • 目的は、コスト削減が主のフリーアドレスと異なり、生産性・創造性の向上
  • オフィスには集中、協業、Web会議など多様な活動に対応するスペースが必要
  • 導入成功の鍵は、明確な目的設定と、導入後の継続的な改善

ABWは単なるオフィスレイアウトのトレンドではなく、従業員の自律性を引き出し、企業の成長を加速させるための「働き方の哲学」です。

この記事が、貴社の働き方改革やオフィス環境改善を前に進めるための一助となれば幸いです。
まずは自社の課題を整理し、ABWがその解決策となりうるか、検討を始めてみてはいかがでしょうか。

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