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DEIとは?意味をわかりやすく解説!企業の取組事例も紹介
「最近、会議で『DEI』という言葉をよく聞くけど、正直よくわからない…」
「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)とは何が違うの?」
企業の経営層や人事担当者の方で、このような疑問をお持ちではないでしょうか。
DEIは、現代の企業経営において非常に重要なキーワードとなっています。
この記事では、DEIの基本的な意味から、注目される背景、企業にもたらすメリット、具体的な推進ステップまで、専門用語を避けながら分かりやすく解説します。
この記事を読めば、DEIの本質を理解し、自社での取り組みを検討する第一歩を踏み出せるはずです。
DEIとは何の略?意味と注目される背景
まず、DEIという言葉の基本的な意味と、なぜ今これほどまでに重要視されているのかを見ていきましょう。
DEIは「多様性・公平性・包括性」の略語
**DEI(ディーイーアイ)**とは、Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)の3つの単語の頭文字を取った言葉です
これらは、企業や組織が持続的に成長していくために不可欠な3つの要素を示しています。
- Diversity(多様性) 人々が持つさまざまな違いを認識し、尊重すること。
- Equity(公平性) 個々の状況や背景の違いを考慮し、すべての人に成功するための機会を公正に提供すること。
- Inclusion(包括性) 多様な人材が組織の一員として受け入れられ、それぞれの能力を最大限に発揮できる状態のこと。
簡単に言えば、多様な人材(Diversity)が集まり、それぞれの違いに応じた公正な機会(Equity)が与えられ、一人ひとりが組織の一員として尊重され活躍できる(Inclusion)状態を目指す考え方がDEIです。
なぜ今DEIが重要視されるのか
DEIが世界的に注目される背景には、社会や市場の大きな変化があります。
- グローバル化と市場の多様化 ビジネスが国境を越えて展開される中で、多様な文化や価値観を持つ顧客のニーズに応える必要性が高まっています。
- 労働人口の減少と人材獲得競争の激化 少子高齢化が進む日本では、限られた人材を確保し、定着させることが企業の死活問題となっています。多様な働き方を受け入れ、誰もが働きやすい環境を整えることが不可欠です。
- 投資家からの要請(ESG投資の拡大) 近年、企業の財務情報だけでなく、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への取り組みを評価して投資先を選ぶ「ESG投資」が拡大しています。DEIは「Social(社会)」における重要な評価項目であり、投資家からの信頼を得るためにも欠かせない要素です。
これらの変化に対応し、企業が持続的に成長するためには、多様な視点を取り入れてイノベーションを生み出し、すべての従業員が能力を発揮できる組織づくりが求められています。
その核心となるのがDEIなのです。
DEIとSDGsの関連性
DEIの推進は、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にも深く関連しています。
特に、以下の目標とは密接な関係があります。
- 目標5「ジェンダー平等を実現しよう」 性別に関わらず、誰もが平等な機会を得られる社会を目指します。
- 目標8「働きがいも経済成長も」 すべての人がディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に就ける環境を促進します。
- 目標10「人や国の不平等をなくそう」 国内および国家間の不平等を是正します。
DEIへの取り組みは、単なる企業戦略にとどまらず、より良い社会を実現するための世界的な目標に貢献する活動でもあるのです。
DEIを構成する3つの要素をわかりやすく解説
DEIを深く理解するために、「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」それぞれの意味を詳しく見ていきましょう。
Diversity(多様性) 個々の違いを尊重する考え方
**Diversity(多様性)**とは、人々が持つさまざまな「違い」を指します。この違いには、目に見えやすいものと、見えにくいものがあります。
- 表層的な多様性 性別、年齢、人種、国籍、障がいの有無、性的指向(LGBTQ+)など、外から見て分かりやすい属性。
- 深層的な多様性 価値観、宗教、職務経験、スキル、働き方、コミュニケーションスタイルなど、内面的な属性。
DEIにおけるダイバーシティは、単に女性や外国人の比率を高めるといった表面的なことだけを指すのではありません。
一人ひとりが持つ固有の背景や経験、価値観といった内面的な違いも含めて尊重し、組織の力として活かしていくことが重要です。
Equity(公平性) 個々の状況に応じた機会提供
**Equity(公平性)**とは、DEIの中でも特に重要視される新しい概念です。
これは、すべての人に同じものを与えるのではなく、個々の状況や背景の違いを考慮して、それぞれに必要な支援やリソースを提供することを意味します。
Equity(公平性)とEquality(平等)の違い
Equity(公平性)を理解するために、よく似た言葉である「Equality(平等)」との違いを見てみましょう。
フェンス越しに野球観戦をする3人を例に考えてみます。
- Equality(平等) 身長に関わらず、全員に同じ高さの台を1つずつ配ります。この場合、もともと背の高い人はより快適に見えますが、背の低い人は台を使っても試合を見ることができません。これは「機会の平等」ですが、「結果の平等」にはなっていません。
- Equity(公平性) それぞれの身長に合わせて、必要な高さの台を配ります。背の低い人には台を2つ、中くらいの人には1つ、背の高い人には台を配りません。結果として、3人全員が同じように試合を観戦できるようになります。
ビジネスの現場に置き換えると、育児中の従業員に時短勤務やリモートワークを認めたり、外国籍の従業員に言語サポートを提供したりすることがエクイティの具体例です。
個々の障壁を取り除き、誰もが同じスタートラインに立てるように支援することがエクイティの本質です。
Inclusion(包括性) 個々が活かされる状態
**Inclusion(包括性)**とは、組織に集まった多様な人材が、誰一人として疎外されることなく、組織の一員として尊重され、安心して自分の意見を表明できる状態を指します。
「多様な人材がいる(Diversity)」だけでは不十分です。
その一人ひとりが「自分はここにいて良いんだ」「自分の意見は聞いてもらえるんだ」と感じ、心理的安全性が確保されていなければ、能力を最大限に発揮することはできません。
有名な言葉に「ダイバーシティはパーティーに招待されること。インクルージョンはパーティーでダンスに誘われること」という例えがあります。
つまり、ただ組織に存在するだけでなく、その中で積極的に関わり、貢献できる環境が整っていることがインクルージョンなのです。
DEIとD&Iの違いは「Equity(公平性)」の有無
DEIとよく似た言葉に「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)」があります。
この2つの最大の違いは、その名の通り**「Equity(公平性)」の概念が含まれているかどうか**です。
「Equity(公平性)」が加わったことの重要性
従来のD&Iの考え方では、多様な人材を採用し(Diversity)、組織に受け入れる(Inclusion)ことに主眼が置かれていました。
しかし、それだけでは根本的な課題が解決しないことが分かってきました。
なぜなら、多くの組織の制度や文化は、無意識のうちにマジョリティ(多数派)を基準に作られているからです。
そのため、マイノリティ(少数派)の人々は、目に見えない障壁によって能力発揮を妨げられたり、正当な評価を得られなかったりするケースがありました。
ここに**「Equity(公平性)」が加わったことで、こうした構造的な不公平さや障壁そのものに目を向け、それを取り除く必要があるという視点**が明確になりました。
エクイティの視点があってこそ、ダイバーシティとインクルージョンが真に機能するのです。
D&IからDEIへの変遷と世界的な潮流
D&IからDEIへの移行は、特に2020年以降、世界的に加速しました。アメリカで起きたBlack Lives Matter運動などをきっかけに、人種間に存在する根深い構造的差別への問題意識が世界中で高まりました。
この流れを受け、多くの企業や組織が、単に多様性を尊重するだけでなく、歴史的・社会的に不利な立場に置かれてきた人々の状況を改善し、公正な機会を能動的に提供する「エクイティ」の重要性を認識するようになりました。
今やDEIは、グローバルスタンダードな考え方となっています。
DEI推進が企業にもたらすメリット
DEIを推進することは、社会貢献だけでなく、企業経営にも多くの具体的なメリットをもたらします。
イノベーションの創出と生産性向上
多様なバックグラウンドを持つ人材が集まることで、異なる視点や価値観がぶつかり合い、画一的な組織では生まれにくい革新的なアイデアやイノベーションが創出されやすくなります。
また、従業員一人ひとりが尊重され、能力を発揮できる環境はエンゲージメントを高め、組織全体の生産性向上に直結します。
優秀な人材の確保と定着率の向上
DEIを重視する企業文化は、特に若い世代や多様な背景を持つ求職者にとって大きな魅力となります。
採用活動において他社との差別化を図り、優秀な人材を獲得しやすくなります。
さらに、従業員が公正に扱われ、働きやすいと感じる職場は離職率の低下につながり、人材の定着(リテンション)にも貢献します。
企業価値とブランドイメージの向上
DEIへの真摯な取り組みは、顧客、取引先、地域社会、そして投資家からの信頼を高めます。
「社会課題の解決に貢献する企業」というポジティブな評判は、ブランドイメージを向上させ、長期的な企業価値の増大につながります。
前述の通り、ESG投資の観点からも、DEIは企業評価に欠かせない要素です。
【事例】企業のDEI推進への取り組み
国内外の企業は、すでにDEIを経営の重要課題と位置づけ、さまざまな取り組みを進めています。
ここでは代表的な事例を3つ紹介します。
【国内事例】株式会社メルカリ
フリマアプリで知られるメルカリは、創業当初からDEIを重視してきました。
- Go Bold(大胆にやろう)な文化の醸成 多様な人材が萎縮せず、大胆に挑戦できる心理的安全性の高い組織文化を築いています。
- 無意識バイアス研修の全社導入 従業員が無意識に持つ偏見に気づき、より公平な意思決定ができるよう研修を実施しています。
- 柔軟な働き方支援制度「merci box」 育児や介護、妊活など、従業員のライフステージの変化に柔軟に対応するための独自の福利厚生制度を設けています。
(参考:株式会社メルカリ サステナビリティサイト)
【国内事例】武田薬品工業株式会社
グローバル製薬企業である武田薬品工業は、DEIをビジネスの成長に不可欠な要素と位置づけています。
- グローバルなDEI目標の設定 2025年までに全世界で女性管理職比率を**40%**にするなど、具体的で測定可能な目標を掲げています。
- 従業員リソースグループ(ERG)の活動 共通の背景や関心を持つ従業員が自主的に運営するグループ活動を支援し、インクルージョンを推進しています。
- インクルーシブ・リーダーシップの育成 管理職向けに、多様な部下をまとめ、能力を引き出すためのリーダーシップ研修を実施しています。
(参考:武田薬品工業株式会社 DEIページ)
【海外事例】セールスフォース
クラウドベースのソフトウェアを提供するセールスフォースは、DEIの先進企業として世界的に知られています。
- 賃金格差の是正 性別や人種による不合理な賃金格差がないか、毎年グローバルで調査・分析し、是正措置を行っています。これまでに2,200万ドル以上を投じてきました。
- インクルーシブな採用プロセス 採用候補者の多様性を確保するためのルールを設けたり、面接官にバイアス研修を義務付けたりしています。
- Equality Group(平等グループ)の活動 女性、LGBTQ+、障がい者など、多様なコミュニティを支援する従業員主導のグループが活発に活動しています。
(参考:Salesforce, Inc. Equality at Salesforce)
企業がDEIを導入・推進する4ステップ
「自社でもDEIを始めたいけれど、何から手をつければいいかわからない」という方のために、基本的な導入・推進のステップを紹介します。
ステップ1 現状把握と課題の可視化
まずは自社の現在地を知ることから始めます。
- 定量的データの分析 従業員の男女比、年齢構成、国籍、障がい者雇用率、勤続年数、管理職比率などのデータを分析し、多様性の現状を客観的に把握します。
- 定性的データの収集 従業員満足度調査や匿名アンケート、インタビューなどを実施し、従業員が働きやすさや公平性、疎外感などについてどう感じているか(インクルージョン度)を可視化します。
ステップ2 推進体制の構築と目標設定
次に、DEIを全社的に推進するための土台を作ります。
- 経営層のコミットメント DEIは人事部だけの仕事ではありません。経営トップがその重要性を理解し、全社に向けて明確なメッセージを発信することが不可欠です。
- 推進体制の構築 DEI推進の責任者や専門部署を設置し、誰が責任を持って進めるのかを明確にします。
- 目標(KPI)の設定 現状分析で見えた課題に基づき、「3年後までに女性管理職比率を**30%**にする」など、具体的で測定可能な目標を設定します。
ステップ3 施策の実行と社内への浸透
設定した目標を達成するための具体的なアクションを実行します。
- 制度・プロセスの見直し 採用基準の見直し、公平な評価制度の構築、柔軟な働き方(リモートワーク、フレックスタイム)の導入などを行います。
- 研修の実施 全従業員を対象とした無意識バイアス研修や、管理職向けのインクルーシブ・リーダーシップ研修などを実施します。
- 社内コミュニケーションの活性化 社内報やイントラネット、全社集会などでDEIの重要性や取り組みの進捗を継続的に発信し、全社的な理解と共感を醸成します。
ステップ4 効果測定と継続的な改善
DEIの取り組みは一度で終わるものではありません。
- 定期的なモニタリング 設定したKPIの進捗状況を定期的に測定し、施策の効果を評価します。
- フィードバックの収集と改善 従業員からのフィードバックを再び収集し、施策が意図通りに機能しているかを確認します。効果が薄い施策は見直し、新たな課題には新しい対策を講じるなど、PDCAサイクルを回し続けることが成功の鍵です。
DEIに関するよくある質問
最後に、DEIに関してよく寄せられる質問にお答えします。
Q. DEIの読み方は?
A.DEIは「ディー・イー・アイ」とアルファベットをそのまま読みます。
Q. DEIとD&I、どちらを使うべきですか?
A.どちらが絶対的に正しいというわけではありませんが、世界的な潮流としてはDEIが主流になりつつあります。
従来のD&Iが「多様な人材を受け入れる」ことに重点を置いていたのに対し、DEIは「構造的な不公平さを是正し、公正な機会を提供する(Equity)」という視点を加えています。
より本質的な組織変革を目指すのであれば、「エクイティ」の概念を含むDEIを用いることをおすすめします。
Q. 中小企業でもDEIは必要ですか?
A.はい、企業規模に関わらず、すべての企業にとってDEIは重要です。
むしろ、人材不足に悩む中小企業こそ、多様な人材が魅力を感じ、定着・活躍できる環境を整えることが、持続的な成長の鍵となります。
大企業のように大規模な専門部署を設置することは難しくても、まずは経営者がDEIの重要性を理解し、従業員が安心して意見を言える風通しの良い職場づくりから始めることができます。
ハラスメント防止研修の実施や、柔軟な勤務体系の検討など、できることから一歩ずつ進めていくことが大切です。
まとめ
この記事では、DEIの基本的な意味から、D&Iとの違い、企業にもたらすメリット、具体的な推進ステップまでを解説しました。
最後に、本記事の要点をまとめます。
- DEIとはDiversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)の略。
- D&Iとの大きな違いは、個々の状況に応じた支援を行う**「Equity(公平性)」**の視点が含まれていること。
- DEIの推進は、イノベーション創出、優秀な人材の確保、企業価値向上など、多くのメリットをもたらす。
- DEIは一部の人のためのものではなく、すべての従業員が能力を発揮し、企業が持続的に成長するための重要な経営戦略である。
DEIは、もはや単なるトレンドや社会貢献活動ではありません。変化の激しい時代を勝ち抜くための、企業の生存戦略そのものです。
この記事が、あなたの会社でDEI推進の第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
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